この作品を制作するにあたって、彼女は構想期間に1ヶ月、制作期間に1ヶ月を費やしている。その2カ月間、おそらく彼女は、寝ても冷めてもこの作品のことが頭から離れなかったのではないだろうか。それは、彼女にとって、作品と、自分と、向き合う初めての時間だったかもしれない。
 
その間彼女は、【現在の自分のイメージ】と重ね合わせて、両生類や魚類の卵、昆虫の卵や蛹(サナギ)・繭について調べ、考察し、造りたいモノの具体像を明確にしてゆくという作業を続けた。また、そのカタチが観る側に与える印象を考え、悩み、決断していった。
やがて・・・当初、漠然としたイメージだけで、構想期間なしに制作に入りたがっていた彼女は、その繰り返しの中で変化を見せる。じっくりと考え、まず自分が納得したその考え・そのカタチに、他人を惹きつけるだけの説得力が在るのかどうか?それを見極めるための試行錯誤を繰りかえし、ようやく作業にとりかかる。このような過程を経て、彼女は大きく成長していったようだ。また、完成後、面接の練習にと、「作品説明をしてみたい」と言い出すと、全く非の打ち所のない堂々たる作品説明を披露し、周りで見ていた友人達は舌を巻いた。実際のところ、これには私(講師)も唸らされた。それほどに、彼女の態度(プレゼンテーション)は、自分の意見を外へと発することへの責任を充分に自覚した説得力ある姿勢だったのだ。
彼女の奮闘と努力には拍手を、彼女の今後には心からのエールを贈りたい。
● ● ● 作品ができるまで
コードやプラグも取り付ける。
補強材に樹脂系接着剤を使う。
これを毎日繰り返す。
梱包して試験会場に持ち込んだ。